Saturday, June 24, 2006

2006.6.10 新しい杯が届いた

注文していた備前焼の杯が届いた。梱包は至極丁寧。

そっくりそのまま保存したくなってしまう。桐の箱を

開けるときの高揚感は久々の感覚だった。杯は想像より

口径が大きく雄大な印象。酒を注いで口に運んでみると、意外と

バランスをとるのが難しい。こんな平べったい外見だが

扱う上でセンターの意識が喚起される。ワイングラスなどとは

まったく対照的な造形だが、十全に持ち・注ぎ・口に運び

中の酒を存分に味わいつくす上で要求される扱い様は

かなり相通ずるのかもしれない。


「いい道具」の条件とは何であろうか。

それを手にする持ち主の感覚が鈍い・低い状態でも

自らの機能を発揮してみせる懐の深さか、

あるいは下手な扱いをすれば後ろ足で蹴りつけるように

持ち主に惨めさを味わせるが相応の感性と気合で臨めば

それに応えてくれるような、持ち主の感覚を高めることを

要求するが如き厳しさか。否、導く優しさというべきか。

それに沿ってこそ味わえる悦楽というもの、それを味合わせて

くれるモノはこの世に確かに存在する。

自分が鈍いままでは元も子もないのだが。

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